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高さ 21.0 cm × 径 16.0 cm
白丹波釉が醸し出すやわらかな乳白色は、淡い月光を映すかのようにしっとりとした光沢をたたえています。器面全体に走る貫入(かんにゅう)は、焼成後に生まれた自然の文様であり、繊細な網目が景色として豊かに広がります。時を経るごとに茶渋が染み入り、乳白の地に幽玄な筆致を描き出すさまは、まさしく“育つ器”の醍醐味と言えるでしょう。
本作には、白丹波の陶蓋と溜塗(ためぬり)仕上げの塗蓋という二種類が添えられております。
・陶蓋は本体と同じ白釉が施され、一体感のある端正な佇まいを演出。涼やかな夏の席では、白の面が水面の静けさを連想させ、客の心を清らかに整えてくれます。
・塗蓋は深い溜色が挿し色となり、炉の季節や夜咄(よばなし)の茶事で格調を高める名脇役。木地の温もりと漆の艶が、白丹波の柔らかな肌合いを一層引き立てます。
使い分けることで、四季折々の趣向や亭主のもてなしの心を余すところなく表現できる点が大きな魅力です。
正元直作様の「直作窯」は、丹波古窯の系譜を受け継ぐ最古参の窯元のひとつです。赤松薪の炎と登窯の還元環境を巧みに操り、素朴でありながら品格を宿す器を作り続けてこられました。本作でも、胴のストレートな立ち上がりとわずかに張りのある肩が現代的なスマートさを漂わせつつ、底部に残るやわらかな轆轤目が土味を忘れさせません。伝統と革新が響き合う“今”の丹波焼を体現した水差です。
高さ21 cmという堂々たる寸法は、薄茶・濃茶どちらの席でも十分な量の湯を湛え、点前の流れにゆとりをもたらします。白釉の清潔感は初座の張り詰めた空気を和らげ、客の緊張をほどく効果も。春は桜の薄紅、夏は青楓の涼、秋はもみじの深紅、冬は雪景色――いずれの床飾りとも調和し、茶室全体をしとやかにまとめ上げます。
ご使用後はぬるま湯でやさしく洗い、やわらかい布で水気を拭き取ったうえで十分に乾燥させてください。
長時間の浸水や洗剤の多用は避け、貫入に不要な湿気や油分が入り込むのを防ぎましょう。
経年変化によって現れる茶渋や細かな色の濃淡は、茶事の記憶を重ねた証しとしてお愉しみいただけます。
白丹波の清澄な白と、貫入が育む唯一無二の景色――正元直作様がもたらすこの水差は、日々の稽古から格式ある茶事まで幅広く寄り添い、茶室に静かな品格を授けます。二種類の蓋を使い分けながら、季節とともに表情を変える“侘びの器”をぜひお手元で育て上げてくださいませ。
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